訳あり物件とは?結論から言うと「普通には売れない不動産」のこと
訳あり物件とは、法律上・物理的・心理的な理由により、通常の不動産売却が難しい物件の総称です。
「訳あり」と聞くとネガティブなイメージが先行しますが、実は訳あり物件には大きく7つの種類があり、それぞれ売れにくい理由も売却方法もまったく異なります。
そして最も大切なことは、「売れない」と諦める必要はないということ。一般の不動産仲介では断られる物件でも、訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、現状のまま買い取ってもらえるケースがほとんどです。
- 訳あり物件の7つの種類と、それぞれの特徴・買取相場
- 訳あり物件が「売れない」と言われる本当の理由
- 売却方法3つの比較と、あなたに合った選び方
- 自分の物件がどのタイプか判定できるフローチャート
訳あり物件の7つの種類【一覧比較表】
訳あり物件は、その「訳あり」の内容によって7つのタイプに分類できます。以下の比較表で、それぞれの売却難易度と買取相場の目安を確認してください。
| 種類 | 概要 | 売却難易度 | 買取相場(対通常物件) | 詳細記事 |
|---|---|---|---|---|
| 再建築不可 | 建て替えができない物件 | ★★★★☆ | 50〜70% | →詳しく見る |
| 相続トラブル | 相続人間で揉めている | ★★★★★ | 60〜80% | →詳しく見る |
| 共有名義 | 複数人で所有、合意が困難 | ★★★★☆ | 40〜70% | →詳しく見る |
| 空き家・長期空室 | 管理されていない物件 | ★★★☆☆ | 50〜80% | →詳しく見る |
| 老朽化・築古 | 築40年超の古い建物 | ★★★☆☆ | 30〜60% | →詳しく見る |
| 借地権付き | 土地は借り物 | ★★★★☆ | 50〜70% | →詳しく見る |
| 事故物件 | 心理的瑕疵がある | ★★★★★ | 20〜50% | — |
※売却難易度は★が多いほど難しいことを示します。買取相場はあくまで目安であり、物件の立地・状態によって大きく変動します。
訳あり物件7つの種類を詳しく解説
ここからは、7つの種類それぞれについて「どういう状態か」「なぜ売れにくいのか」「どうすれば売れるのか」を解説します。
1. 再建築不可物件
再建築不可物件とは、現在の建物を解体した後に新しい建物を建てられない土地のことです。
建築基準法では、建物を建てるために「幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接していること(接道義務)」が求められます。この条件を満たさない土地では、建て替えの許可が下りません。
再建築不可物件は住宅ローンの審査が通りにくいため、一般の買主にはほぼ売れません。しかし、専門の買取業者であれば現金買取で対応できるケースがあります。
再建築不可物件の売却方法について詳しくは「再建築不可物件の売却ガイド」をご覧ください。
2. 相続トラブル物件
相続トラブル物件とは、相続人が複数いて合意ができない、相続登記が済んでいない、遺産分割協議が長引いているなど、相続に起因する問題を抱えた物件です。
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。「とりあえず放置」が許されなくなったのです。
相続トラブルの解決には、相続に強い不動産会社と司法書士のワンストップ対応が鍵になります。不動産の売却と相続手続きを一括で進められる体制があるかどうかを確認しましょう。
相続不動産の売却について詳しくは「相続不動産の売却ガイド」、相続登記義務化については「相続登記の義務化とは?」をご覧ください。
3. 共有名義の不動産
共有名義の不動産とは、夫婦・兄弟・親族など複数人で所有権を持っている物件です。離婚時の財産分与で共有のまま放置されているケースも少なくありません。
共有名義の不動産は、共有者全員の合意がないと売却できません。自分の持分だけを売却することは法律上可能ですが、買い手が見つかりにくく、大幅に安い価格になりがちです。
どうしても合意が取れない場合は「共有物分割請求」という法的手段もありますが、費用と時間がかかります。まずは共有名義に詳しい不動産会社に相談するのが現実的です。
共有名義の売却方法について詳しくは「共有名義の不動産 売却ガイド」をご覧ください。
4. 空き家・長期空室
空き家とは、親の家を相続したが住む予定がない、転勤で長期間空室になっているなど、使われていない不動産のことです。
空き家を放置するリスクは年々高まっています。自治体から「特定空家」に認定されると、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
また、空き家の維持管理には年間30〜50万円程度のコストがかかるとされています。長期的に見れば、早期に売却したほうが経済的な負担を軽減できるケースがほとんどです。
空き家の売却・活用について詳しくは「空き家の売却ガイド」、固定資産税については「空き家の固定資産税はいくら?」をご覧ください。
5. 老朽化・築古物件
老朽化物件とは、築40年を超え、雨漏り・シロアリ被害・建物の傾きなど深刻な劣化が見られる物件です。
リフォームして売る方法もありますが、リフォーム費用が物件の市場価値を上回ってしまうケースも珍しくありません。特に旧耐震基準(1981年以前)の建物は、耐震補強だけで数百万円かかることもあります。
現実的な選択肢としては、「古家付き土地」として土地の値段で売却する方法や、解体して更地にして売る方法があります。買取業者であれば、現状のまま買い取ってもらうことも可能です。
老朽化物件の売却について詳しくは「老朽化物件の売却ガイド」をご覧ください。
6. 借地権付き建物
借地権付き建物とは、土地は地主から借りており、建物のみを所有している物件です。
借地権付き建物を売却するには、原則として地主の承諾が必要です。承諾を得る際には「承諾料(名義書換料)」が発生するのが一般的で、借地権価格の10%程度が相場とされています。
もし地主が売却を拒否した場合でも、裁判所に「借地非訟手続き」を申し立てることで、地主の承諾に代わる許可を得られる制度があります。ただし手続きには時間がかかるため、まずは交渉での解決を目指すのが一般的です。
借地権付き建物の売却について詳しくは「借地権付き建物の売却ガイド」をご覧ください。
7. 事故物件
事故物件とは、自殺・殺人・孤独死・火災など、心理的瑕疵(しんりてきかし)がある物件のことです。
2021年に国土交通省が公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」により、告知義務の基準がある程度明確になりました。
- 自然死・日常生活の中での不慮の事故死は、原則として告知不要
- ただし、長期間発見されなかった場合(特殊清掃が必要な場合等)は告知が必要
- 自殺・殺人などは告知が必要
事故物件は心理的なハードルから一般市場では敬遠されがちですが、専門の買取業者であれば対応可能な場合があります。
訳あり物件が「売れない」と言われる3つの理由
「訳あり物件は売れない」とよく言われますが、正確には「一般的な売却ルートでは売りにくい」ということです。その理由は主に3つあります。
理由1:住宅ローンの審査が通りにくい
再建築不可物件や借地権付き建物は、金融機関の担保評価が低くなるため、買主が住宅ローンを組めないことがほとんどです。住宅ローンが使えないと、購入できるのは現金を用意できる買主に限られ、結果として買い手が見つかりにくくなります。
理由2:不動産仲介会社が取り扱いを避ける
訳あり物件は売却までに時間がかかり、手間もかかる割に、物件価格が安いため仲介手数料も少額になります。そのため、一般的な不動産仲介会社にとっては「割に合わない案件」として敬遠されることが少なくありません。
理由3:心理的・法的なハードルが高い
相続人同士の対立、共有者間の意見の相違、事故物件の告知義務など、訳あり物件には心理的・法的に複雑な問題が絡んでいます。こうした問題を解決するには、不動産の知識だけでなく法律の専門知識も必要になるため、対応できる会社が限られるのです。
訳あり物件を売却する3つの方法【比較表】
訳あり物件を売却する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれのメリット・デメリットを比較表にまとめました。
| 売却方法 | メリット | デメリット | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 専門買取業者に売る | 最短数日で売却可能、確実に売れる、現状のまま引渡しOK | 市場価格より安くなる傾向がある | すぐに現金化したい人、手間をかけたくない人 |
| 一般の不動産仲介 | 高値で売れる可能性がある | 時間がかかる、そもそも取り扱いを断られることもある | 時間に余裕がある人、物件の条件が比較的良い人 |
| 個人間売買 | 仲介手数料がかからない | 契約書作成や登記手続きが自力、トラブルリスクが大きい | 知人・親族など売却先が決まっている人 |
訳あり物件の場合、一般の仲介では対応が難しいケースが多いため、まずは専門の買取業者に相談してみるのが現実的な第一歩です。査定は無料の会社がほとんどなので、物件の価値を把握するだけでも意味があります。
買取と仲介の違いについて詳しくは「不動産の買取と仲介の違い」をご覧ください。
訳あり物件の売却先を選ぶ5つのポイント
訳あり物件を任せる不動産会社を選ぶ際には、以下の5つのポイントをチェックしましょう。
1. 訳あり物件の買取実績があるか
訳あり物件の扱いには専門的なノウハウが必要です。一般的な不動産会社ではなく、訳あり物件を専門的に扱っている会社を選びましょう。ホームページで買取事例や対応可能な物件の種類を確認するのが有効です。
2. 対応エリアに含まれているか
不動産は地域密着型のビジネスです。物件の所在地が対応エリアに含まれているかを必ず確認しましょう。地元の事情に詳しい会社のほうが、適正な査定額を提示してくれる傾向があります。
3. 査定は無料か、査定後のキャンセルは可能か
査定費用が無料であること、そして査定額に納得できなかった場合にキャンセルできることを事前に確認しておくと安心です。良心的な会社であれば、査定だけの問い合わせでも快く対応してくれます。
4. 買取後の物件活用ノウハウがあるか
買取業者が物件をどのように活用(再生・リノベーション等)するかによって、買取価格は変わります。活用ノウハウが豊富な会社ほど、高い査定額を出せる可能性があります。
5. 弁護士・司法書士との連携体制があるか
相続トラブルや共有名義の問題は、不動産会社だけでは解決できません。弁護士や司法書士と連携して、法的な手続きもワンストップで対応できる体制があるかどうかは重要な判断基準です。
あなたの物件はどのタイプ?判定フローチャート
「自分の物件はどの種類に当てはまるのだろう?」と迷った方は、以下のフローチャートを参考にしてください。
Q1:建物は建て替えできますか?
├ いいえ → 「再建築不可物件」の可能性があります
└ はい/わからない → Q2へ
Q2:所有者は1人ですか?
├ いいえ(複数人) → 「共有名義の不動産」の可能性があります
└ はい → Q3へ
Q3:相続で取得した物件ですか?
├ はい → 相続登記は済んでいますか?
│ ├ いいえ → 「相続トラブル物件」の可能性があります
│ └ はい → Q4へ
└ いいえ → Q4へ
Q4:現在、誰か住んでいますか?
├ いいえ(空き家) → 「空き家」の可能性があります
└ はい → Q5へ
Q5:築何年ですか?
├ 40年以上 → 「老朽化物件」の可能性があります
└ 40年未満 → Q6へ
Q6:土地は所有していますか?
├ いいえ(借地) → 「借地権付き建物」の可能性があります
└ はい → 一般的な不動産として売却できる可能性があります
※複数のタイプに該当する場合もあります。判断に迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。
訳あり物件に関するよくある質問
- 訳あり物件は不動産会社に断られることがありますか?
-
はい、一般的な不動産仲介会社では取り扱いを断られるケースがあります。訳あり物件は売却に時間がかかり、物件価格も低いため仲介手数料が少額になることが主な理由です。訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、対応してもらえる可能性が高くなります。
- 訳あり物件の査定額はどのくらいですか?
-
物件の種類や状態によって大きく異なります。目安として、通常の物件価格の20〜80%程度が一般的です。たとえば、空き家や相続物件は比較的高めの査定が出やすい一方、事故物件は大幅に下がる傾向があります。正確な金額は個別の査定が必要です。
- 訳あり物件を売却する際の税金はかかりますか?
-
訳あり物件であっても、売却益が出れば譲渡所得税がかかります。ただし、相続した空き家を売却する場合に最大3,000万円の特別控除が適用できるケースや、所有期間が5年を超える場合に税率が軽減されるケースもあります。詳しくは税理士にご相談ください。
- 訳あり物件を相続放棄することはできますか?
-
相続放棄は可能ですが、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。また、相続放棄をすると不動産だけでなく預貯金などすべての遺産を放棄することになるため、慎重な判断が必要です。相続放棄後も、次の管理者が決まるまでは物件の管理義務が残る点にもご注意ください。
- 広島県以外の訳あり物件も相談できますか?
-
家がほしい.comでは、広島市を中心に広島県全域の訳あり物件に対応しています。広島県外の物件については、まずはお気軽にお問い合わせください。物件の内容によっては、提携先をご紹介できる場合もあります。
- 訳あり物件の売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
-
専門の買取業者に依頼した場合、査定から売却完了まで最短で1〜2週間程度です。一般の仲介で売却する場合は、買い手が見つかるまで数か月〜1年以上かかることもあります。相続トラブルや共有名義の問題がある場合は、法的手続きの期間も加わるため、さらに長引く可能性があります。
まとめ:訳あり物件でも売却の道はある
訳あり物件には再建築不可・相続トラブル・共有名義・空き家・老朽化・借地権・事故物件の7つの種類があり、それぞれ売れにくい理由と適切な売却方法が異なります。
一般の不動産仲介では対応が難しいケースも多いですが、訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、どのタイプの物件でも対応できる可能性があります。
大切なのは、「売れない」と諦めて放置しないこと。放置すれば固定資産税や管理コストの負担が増え続け、相続登記義務化の過料リスクも高まります。
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